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どこまでが現実でfantasy…?

V6がアイドルとして存在するということ

※V6 LIVE TOUR 2015のセトリ等に触れますので、ネタバレ回避中の方はご注意ください。





突然ですが、私はV6に対して「最もアイドルらしくない王道アイドル」だという印象を抱いています。なんという矛盾。私自身も上手く表現出来る言葉が見つからずなんとなくもやもやしています。

9月19日、人生で2度目のV6のライブに行ってきました。歌ったり踊ったり泣いたり笑ったり3時間ずーーーっと楽しかった。私が行った日は世界の健さんのあさイチ潜入写真が20枚ほど公開されたり、名言を残しまくったりで、めちゃくちゃ得をした気分です。とにかく幸せな3時間でした。

帰りの電車で早速セトリ順にプレイリストを作り、興奮冷めやらぬまま1曲1曲を聴いていた時、ある歌詞にはっとしました。
大抵どんな綺麗事だって穴があるんだ
HONEY BEATの一節です。ハニビは私たちがちょうど通っていた頃の早稲田アカデミーのタイアップで、発売当時から何度も何度も聴いていますが、この一節が耳に留まったのは初めてでした。

V6といえば応援ソングが多いですよね。私も今まで歌を聴いては勇気付けられ、涙し、助けられてきました。早稲アカで言えば私が中学受験をした年はスピリットがタイアップで、思い入れの強い曲です。でも応援ソングって所詮綺麗事を言っているだけとしか受け取れないという人もいるかもしれません。確かにポジティブシンキングは大切だけど、難しいし、現実はそうもいかない。でも結局は綺麗なものを手に入れたいから、綺麗事と呼ばれる存在に縋らざるを得ないこともあると思います。そんな中で、たくさんの応援ソングを歌ってきたV6が「大抵どんな綺麗事だって穴があるんだ」と代名詞とも言えるこの曲で歌っている。綺麗事とは言ってしまえば理想であり、現実には到底無理なこともある。V6ってどこまでもリアルなんだな、とふと思ったのです。

アイドルの原義は「偶像」すなわち神や仏のような本来触れることも見ることもできない存在を形どって不適切に崇拝されるようになったものを指します。ユダヤ教キリスト教では偶像を作ること、崇拝することはタブーとされています。今ではそれが転じて「人気者」の意で使われるようになったそうですが、つまりアイドルという存在はあくまでファンの作り上げた虚像に過ぎない。ただ、V6はどこまでも実像、リアルに近い気がするのです。

どこまでが現実でfantasy, これ?それ?あれ?どれ?マジわかんない
テレビの中のme 生身のme もはや超fazzyでno boundary
私の担当、三宅健くんのソロ曲「”悲しいほどにア・イ・ド・ル”〜ガラスの靴〜」の一節です。以前楽曲大賞の時にも書いたのですが、三宅健という人間の生き様が集約されているような曲だと思います。健くんにとってアイドルは天職だと思うけど、それはあくまで職業であって、身に纏っているモノに過ぎない。身に纏っているモノはファンや健くんの周りの人、そして健くん自身が作り上げることが出来るけど、身に纏う人は三宅健というリアルな人間なわけです。私は健くんを見ていてもどこまでが彼の本当でどこからが嘘なのか、もう全然分かりません。これは本当でこれは嘘なのかな、とか何となく思うけど、全部が本当な気も全部が嘘な気もする。でもだからこそ彼が大好きなんだと思います。

そういえば私が幼稚園の頃、最初に好きになったV6は、アイドルとしての彼らではなくて「学校へ行こうに出ているお兄さんたち」でした。「三宅くん格好良い!!」と思った一番古い記憶は、当時水泳をやっていた私にとってのヒーロー・北島康介選手にクロールではあるものの勝ってしまった9年前のことです。学校へ行こうの6人はたくさんの素人と触れ合うリアルな6人だった気がします。当時はアイドルV6にはさほど興味がなくて、歌を聴いてもコンサートに行きたいと思ったことはありませんでした。そのうちアイドルV6を好きになって、コンサートにも足を運ぶようになったけれど、いつからそうなったのかは分からない。いつ私は「虚像とリアル」の境界線を越えたのだろうと思います。ただ
虚像とリアル その狭間で俺 生きていく
と健くんが歌っているから、私は常に境界線を行き来して、彼に操られながらいろんな彼を見ていくんだと思います。

そしてこの曲、健くんにしか歌えないとも思うけど、V6全体として考えてもなんとなく同じことが当てはまるような気がするのです。アイドルとしての彼らは少なからず虚像であるはずなのに、限りなく現実に近い。だから彼らの応援ソングは上から目線ではなくて、私たちと同じ目線で、時には否定的でむしゃくしゃする気持ちも歌に乗せています。でもやっぱり応援ソングはアイドルの王道。健くんもいつか雑誌で「僕らにはアイドルの王道とも言える応援ソングがたくさんあるから、強い」といったようなことを語っていた気がします。私は結局他のグループも好きになっていったけれど、V6にはV6にしか出来ない確固たる形があるから、決して好きじゃなくなる訳ではないんだと思います。V6はV6だから好きで、他のグループは他のグループだから好き。同じジャニーズではあるけれど、中身は全然違う。だから一番誰が好きとかないんですよね、みんな違ってみんないい。

……とここまで書いてやっぱり私はDD体質なのかなと思いました。誰でも大好きな訳ではないのですが。ただひとつ言えることは「最もアイドルらしくない王道アイドル」のV6をこれからもずっと好きで居続けられたら何よりの幸せだということです。残りのライブに1人でも多くの人が行けますように。そして6人にとって幸せな20周年の1年になりますように。